hitschiの日記

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朱野帰子著『わたし、定時で帰ります。』を読みました!

土曜日の、のんびりとした午前中、とっても心を動かされる小説を読みました。

 

わたし、定時で帰ります。 (新潮文庫)

わたし、定時で帰ります。 (新潮文庫)

  • 作者:朱野 帰子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/01/27
  • メディア: 文庫
 

 

この小説、テレビドラマ化もされたようで、4月から放送されていたようです。しかも、小説もシリーズ化されているようで、第二弾もあるとのこと!そちらも是非とも読みたいと思っています。

 

わたし、定時で帰ります。 ハイパー

わたし、定時で帰ります。 ハイパー

  • 作者:朱野 帰子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/03/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

小説があまりに面白かったので、この気持ちのまま、ドラマを見たら、ガッカリしてしまうかもしれないと危惧しつつ、やっぱりドラマも見てみたい!

 

 

わたし、定時で帰ります。Blu-ray

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さて、読んだ小説について。

 

主人公は三十代前半の女性、東山結衣。彼女を巡る会社の出来事が綴られます。

 

主人公の恋愛と会社の出来事がないまぜになって、お話が展開していくのですが、それが、本当に今、私たちが生きている世の中を見事に反映している感じがしました。

 

様々な世代の人物が次々と登場し、名前のチョイスや考え方や働き方や行動パターンが見事にそれぞれの世代にいそうな人物が描き出され、読んでいくうちに、まるで、自分もこの会社に働いているような気持ちになっていきます。

 

まさに、作者の方の現実社会での人についての観察力に脱帽です!スバラシイ!

 

物語の主人公に共感して読み進めていくのは、読者として当然なので、私自身も、小説のほとんどを主人公の結衣に肩入れしながら読み進めたのですが、次々と登場する魅力的な人物の中で、どうしても気になる人物がいました。

 

それは、主人公の結衣に「皆勤賞女」と呼ばれる「三谷佳菜子」。

 

自分にはまじめという価値しかないと思い込み、自分の全てを仕事に捧げようとする女性です。就職氷河期世代。結婚や家庭を諦め、どこにも就職口を見つけられなかった自分を拾ってくれた会社に恩義を感じ、その恩義に報いる為に、自分の体を顧みず、ひたすら会社に尽くそうとする女性です。

 

思わず、昔の自分だ、と思いました。

 

そして、彼女の健気なイタさに、胸が苦しく思うと同時に、愛おしさと、早く目を覚ませと言いたい気持ちになりました。

 

「だって、しょうがないじゃないの。私にはまじめしか取り得がないんだから」

 

「私たち氷河期世代はね、何十社、何百社と応募して、内定をもらってもいつ取り消されるかとひやひやして、就職したらしたで、同期もいなくて、不安だねって言い合う仲間さえいなくて、解雇されたらどうしようって思うと休むのが怖くて」

 

「だから、こんな私を雇っていただいたということを忘れずに、分相応のふるまいをしなきゃいけないって頑張ってきたんです。社員としてあるべき姿を追求したんです。だって私からまじめさを取ったら何にも残らない。・・・(中略)まじめじゃなくなったら、私に、居場所なんて」

 

三谷佳菜子のセリフに、思わず涙が出てしまいました。

 

この3月で組織で働くことを辞めてしまった私ですが、組織にいた時、私も、こんな私を拾ってくれたのだから、感謝して尽くさなければと、仕事が半人前な分、人より頑張らなければ、分相応の振る舞いをしなければ、、、と、私も、熱があっても、仕事の責任だけは果たさねばと、這うように必死で仕事に出たこともありました。

 

私の三十代はほとんど仕事に捧げたも同然です。とにかく、必死に、一生懸命働きました。

 

でも、けっこう無理しちゃったかなぁ。。。

 

四十代になって、ちょっと燃え尽き症候群みたいになってしまいました。

 

もっと、長く働ける働き方を考えていくべきだったし、自分の生活のことも顧みるべきでした。

 

今になって、つくづく、若い時からちゃんと、生活と仕事が両立できるように、考えて行ければよかったなって思います。

 

ちゃんと、自分のプライベートについてや、将来のこと、若い時にきちんと考えていけたら、私の人生、もっと充実した人生にできたんじゃないかなぁとも思います。

 

まあ、これからでも遅くないって思って、これからの自分を生きていくしかないんですけどね。

 

とにかく、こんな風に考える主人公が出てくる物語にとても感銘を受けたんです!

 

しかも、素敵な女優さんが主人公を演じるドラマにもなるって、最高だなぁって思いました。

 

とにかく、本を読んで、今の若い女子の皆さんに、自分を生きるのを頑張れ〜!、と言いたいなあって思いました。そういう、応援の本だと思いました。