hitschiの日記

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イジメの構造が見えて切なかった・・・。小保方晴子『あの日』

 先日、小保方晴子さんの『あの日』を読みました。気が付けば出版されてから、2年半の月日が流れていました。出版された当時、読もう、読もうと思っていたのに、今になってやっと、手にとることができました。

 

あの日に戻れるよ、と神様に言われたら、私はこれまでの人生のどの日を選ぶだろうか。一体、いつからやり直せば、この一連の騒動を起こすことがなかったのかと考えると、自分が生まれた日さえも、呪われた日のように思えます。

 

とても、とても悲しい言葉から始まりました。文章はとても上手で読みやすく、彼女が見聞きし、体験した出来事を率直に感じられた通りに書き綴られているという印象を受けました。

 

読んでいて、彼女を取り巻く騒動の中に社会規模に発展し、過熱したイジメの構造があったのだということがわかり、あの過熱していた報道の違和感がやっと腑に落ちました。学校で執拗に繰り返されるようなイジメの構造と何一つ変わらぬ形でより大きな世界に展開していったというようにわたしには感じられました。

 

その経過を読んでいると、わたしもだんだん胃がキリキリと痛んできて、苦しくなりました。どうして、わたしたちは、メディアに悪者として取り上げられるとそれを検証することもなく、極端な攻撃を平気でできるのだろう。信じられないと思う一方で、わたし自身もあの報道の中、大衆の一人としてテレビや新聞を見ていたことが、どこか罪悪感を伴って思い起こされます。

 

マスコミによって悪と決めつけられてしまうと、どうやっても挽回することができない状況に陥ってしまうことはまさに恐怖です。しかも、最も悪いことに、その報道は正義感の元になされているので、何を言っても、何をしても、全て歪曲して捉えられてしまう。どうすれば逃れることができるのでしょう。まるで小説に書かれた悪夢のようです。本当にこんな世の中に生きていることが悲しいです。

 

悪者はもはや人間ではないといわんばかりの確信に満ちた対応をする人、あるいは、自分がその立場にならないようになるべく深入りせず、自分に目を向けられないように受動的でありながら賛同者であるように振る舞う人が出てきて、まさに、学校でのイジメが、クラスで強いもの(時に先生だったりもする)がイジメの対象者を決定して、それが「正義」になって全てが動いていってしまうのと似ています。学校のような小さな閉ざされた空間で起こることと同じことが、大きな社会全体でも起こってしまうということは、この日本という社会空間がいかに閉ざされた、少ない価値観で成り立っているところだということを示しているのでしょうか。それともわたしたちの社会そのものがイジメ構造を元に成り立っているということなのでしょうか。社会の中で撲滅できないイジメなんて、学校から撲滅できるんでしょうか。そんな世の中に生き続けなければいけないなんて、悲し過ぎます。わたしたちは、この、繰り返されるイジメの被害者をなくすような社会に変えていかなければならないと思いました。

 

そして、もう一つ、わたしには、この騒動がこれほどまでに加熱していったそのきっかけの一つに、嫉妬という感情があったのではないかと思いました。若く美しい女性が、まるで難なく世界的発見という成功をしてしまったように見えたことに対しての、嫉妬です。そもそも人間はあらさがしが上手です。何か間違いがあった時に、ほらやっぱりね、それ見たことかと、必要以上に貶める、そんな風にも見えました。あからさまではないけれど、そこかしこにほんのり、嫉妬という感情が背後にあって、様々な歯車が少しずつずれて結果的に一人の人をここまで苦しめることにまで発展してしまったように感じられました。

 

「他人の不幸は蜜の味」ということわざがあるように、人間というものから嫉妬の感情を取り除くことは不可能なのかもしれません。でも、ほんの少しでも、それを変えていけたらいいなあと思います。

 

まず、自分が幸せであれば、他人に嫉妬をする必要もなくなるのではないでしょうか。嫉妬がこんなふうに大きく展開するということは、みんな不幸なのかもしれません。実際に、わたしもなかなか自分の思う通りに生きられなくて、他人に嫉妬ばかりしてきたようにも思います。だから、嫉妬する気持ちはよくわかるけれど、一方、嫉妬することは自分を幸せにしないことをまじまじと思い知っているところでもあります。

 

まずは、自分を幸せにする小さな方法を見つけて、自分が幸せになり、それをまわりにも波及するように変えていかなければならないと思います。遠い道かもしれないけれど、イジメをなくすために、わたしなりにできること考えたひとつのことです。まずは、自分が幸せに感じ、それを波及させよう、そう思いました。とにかく、もう、ネガティブの連鎖はうんざりだし、イジメという意味での被害者は出してはいけないと思いました。

 

最後に、小保方さんが復活されて、ご自身の人生を歩んでいかれるようになられることを心の底からお祈りしています。

 

追伸:最近(2018年3月)、新しい本『小保方晴子日記』が出版されたとのこと。また、雑誌でも元気なお姿を公表されているとのことで、嬉しく思いました。新しい本も近々読んでみようと思います!

 

あの日

あの日